【遺産処分】親の遺した自動車を処分する
被相続人の遺留品の中で、不動産以外で面倒なものは「自動車」です。動産のくせに持っているだけで税金が取られる、運転免許証がなければ動かすこともままならないタチの悪いものです。今の高齢者世代は、自動車とともに歩んできた世代であるため、高速道路を逆走しようが、横断歩道に突っ込んで母子を殺害しようが、お構い無しに自動車に固執しています。このため、自動車が被相続人の遺留品として残る確率は低くありません。
遺留品となった自動車を相続人がそのまま使い続ける場合と、処分(廃車)する場合では、必要な書類や手続きが変わってきます。
1. 自動車の名義変更
被相続人名義の自動車をそのまま使い続けるためには、自動車の名義変更が必要です。これをしておかないと、万が一事故を起こした場合、保険金が下りない等の不利益を被る場合があります。
(窓口)
各地の陸運支局
(必要書類)
1. 被相続人の除籍謄本(死亡が記載された戸籍謄本)
2. 申請者が新所有者であることが証明できる書類(遺言、遺産分割協議書等)
3. 申請者の印鑑証明書と実印
4. 車検証(車検が切れていないこと)
5. 車庫証明書(ただし車の使用場所が変更されないときは不要)
6. 手数料納付書、自動車税申告書、申請書(第1号様式)
*6については、申請日当日に陸運支局の窓口ないし隣接する税事務所で準備
面倒なのは、2です。生前に遺言を書いてもらい、自動車の引取人を決めておいてもらうのが無難でしょう。車検証は、通常、自動車のキャビネットに保管されているでしょうが、奇をてらってどこか別の場所に隠されている場合も無きにしもあらずなので、生前に確認しておいたほうがいいでしょう。また、名義変更を放置していると、車検満了になってしまい、車検手続きから始めなければならず面倒です。
以上が使用し続ける場合ですが、廃車にする場合には別の手続きが必要になります。
2. 自動車保険の名義変更
自動車を所有していれば、普通は自賠責保険に入っているでしょうから、所有者が変更された場合、保険の名義変更手続きも必要です。ただし、約款によっては名義変更ができず相続人が新たに契約を締結し直さなければならないケースもあるので、注意が必要です。さらに名義変更はできても、保険の等級までは引き継げないケースもあります。よくある例としては、
「配偶者か同居の親族」
に限り、等級の引き継ぎを認めるというものです。このため、親と別居しているようなケースでは等級引き継ぎが認められなくなります。
廃車にする場合は単純です。3で触れますが、保険契約の解約となります。保険契約の残り期間によっては還付金が受けられることもあります。
3. 廃車の手続き
親の持っていた自動車を自分は使っていないから、「自動車税は払わなくていい」とはなりません。相続は租税に関する権利義務も引き継ぐため、納税義務は相続人にのしかかってきます。これを避けるためには、「使わないのであればいち早く廃車手続き」です。
廃車の流れは大きく、
解体処理 → 永久抹消登録 → 保険契約の解約 → 自動車税の還付
となります。
解体処理と永久抹消登録については、廃車買取業者が一括で行ってくれるところも多数あります。かかる費用はまちまちなので、事前にネットでの調査が必要です。注意すべきは、「自動車のローン」が残っている場合です。ローンが残っていると廃車手続きを一切受けつけない業者もいれば、車の状態によっては廃車ではなく、買取査定しローン相殺してくれる業者も存在します。このあたりも事前に調査しておいたほうが無難です。永久抹消登録を自分で行う場合には、以下の手続きが必要です。
(窓口)
各地の陸運支局
(必要書類)
1. 「移動報告番号」と「解体報告記録がなされた日」が記載された書類(業者からもらえます)
2. 車検証
3. ナンバープレート(業者からもらえます)
4. 被相続人の除籍謄本(死亡が記載された戸籍謄本)
5. 申請者の印鑑証明書と実印
6. 手数料納付書、自動車税申告書、永久抹消登録申請書
*6については、申請日当日に陸運支局の窓口ないし隣接する税事務所で準備
自前で用意する書類では、解体に関わる書類が必要なだけで、名義書換に必要となる書類とさほど変わりません。
また、保険金や自動車税の還付が受けられるケースがあるので、保険会社の窓口なり陸運局の窓口で確認をとったほうが利口です。
4. 面倒を避けるために
以上、自動車の相続は面倒です。これら面倒な手続きを避けるためには、被相続人が生きているうちに、「自動車離れ」させることです。運転免許証は返納、自動車は使わないなら廃車ないし買取、相続人が使い続けるのなら名義書換です。生存者間での名義書換は戸籍謄本の代わりに、現所有者の印鑑証明が必要な程度です。
もっとも、高齢者の自動車への固執は相当なものがあるため、一筋縄ではいかないかもしれません。相続は表向きは財産関係の権利義務を引き継ぐだけかもしれませんが、裏では社会的風評までも引き継ぎます。事故を起こされて不利益を被るのは、自分だけではないことを認識してもらいたいものです。
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